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ナイロン 特徴と成形方法

ナイロン樹脂とは

ナイロンは1935年にアメリカのデュポン社によって開発されたポリアミド系の合成繊維で、強度、耐摩耗性、耐熱性に優れた特性を持つ素材です。その主な特徴として、引っ張り強度や摩擦に強い耐久性、水分を吸収しやすく速乾性もある吸湿、高温に耐えられるが溶ける温度は低めの耐熱性軽量でありながら高い強度、そして染色しやすいという特性が挙げられます。
ナイロンはポリメラーゼ反応によって製造され、その用途は産業用途(自動車部品、機械部品、ギア、ベアリングなど)、電子機器(絶縁体、ケーブル材など)と幅広い分野にわたり利用されています。
ナイロンでの部品製造をご検討されておりましたら、お気軽にお問い合わせください。最適な形状をご提案させていただきます。

山田精工で取り扱っているナイロン樹脂の種類

PA46(ポリアミド46)

耐熱性: 高温環境での使用に非常に優れており、連続使用温度は約200°C、熱変形温度(HDT)は約290°C。
機械的強度: 引張強度が高く、耐クリープ性にも優れているため、高負荷環境での使用が可能。
摩耗と摩擦特性: 摩耗抵抗が高く、摩擦係数が低いため、ギアや軸受などに適している。
耐薬品性: 多くの化学薬品やオイルに対して優れた耐性を持つ。

PA66(ポリアミド66)

耐熱性: 高強度で耐熱性にも優れ、連続使用温度は約150°C、熱変形温度(HDT)は約250°C。
機械的強度: 汎用性が高く、引張強度や耐衝撃性に優れている。
摩耗と摩擦特性: 摩擦係数が低く、耐摩耗性が高いため、機械部品や構造材料として広く使用される。
耐薬品性: 多くの化学薬品に対して耐性がある。

PA9T(ポリアミド9T)

耐熱性: ポリアミド系樹脂の中でも特に高い耐熱性を持ち、連続使用温度は約150°C、融点は306°C。
寸法安定性: 吸水率が低く、吸水による寸法変化が少ないため、高精度な部品に適している。
耐薬品性: 酸やアルカリ、各種有機溶剤に対して高い耐性を示し、高温・高湿環境下でも加水分解しにくい。
機械的特性: 高い引張強度、剛性、耐摩耗性を持ち、機械的負荷のかかる部品に適している。

成形不良対策

外観改善①

温度が推奨範囲内であっても下限に近い場合、製品表面にガス模様が現れたり、ガサツキが強くなる傾向があります。このような外観不良は、金型温度を上限付近まで上昇させることで改善された事例があります。しかし、金型温度を高く設定すると、金型部品の熱膨張による摺動部の摩耗や製品寸法の変化といった新たなリスクが生じる可能性があります。これらの課題に対して適切な温度管理が重要です。

外観改善②

樹脂が合流してウエルドが発生する箇所にガスベントが設けられていない場合、製品表面に白いガスの転写が生じることがあります。このような外観不良は、保持圧力を高めることでガスを製品内部に封入し、表面への転写を改善できる場合があります。適切な対策を講じることで品質向上が期待されます。

山田精工の解決策

電気的特性、耐熱性の向上

既存の製品性能を向上させたいという希望が寄せられました。特に「電気的特性の向上」と「耐熱性の向上」が求められています。この要望に対応するため、現在使用されているPA9Tからより高い性能を持つPA46への材料変更を提案しました。さらに、他の樹脂材料の検討も視野に入れることで、用途や環境に応じた最適な素材選択を行うことが可能です。このような素材変更による性能向上を通じて、製品の品質を一層高める支援を提供いたします。

ナイロン樹脂の一般特性 例)PA9T Genestarジェネスタ

低吸水性という吸湿が少ない特性を備えており、そのことによって寸法も安定し、高い精度を出すことができる材料です。ブリスターが発生しにくい耐ブリスター性、SMT方式という直接ハンダを加熱接着可能な耐リフロー性も備えています。

また、電気特性も優秀で、耐高電圧(耐トラッキング性)を生かして電気電子部品、電気自動車などの車載部品にも用途を拡大しています。

ナイロン樹脂の成形条件 例)PA9T GenestarジェネスタPA9T

ジェネスタ成形条件
融点が306℃と高く、はんだ耐熱性も270℃であり耐熱性に優れています。
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